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看護学生のための 実習記録の書き方
看護学生のための 実習記録の書き方
著者名 編著 福田 美和子(東邦大学看護学部准教授)
発行年月日 2015年3月27日
判・頁数 B5判 200頁
ISBN 9784907176167
定価(10%税込) 定価 2,860円(10%税込)
在庫 在庫あり 
書籍概要
看護実習での最大の悩みの1つが「実習記録が書けない」ことです。参考書をみてもなかなかうまく書けない、何度修正しても、指導者からOKサインが出なく、結局何が自分の課題なのかわからない学生が多い。本書は、情報収集からアセスメント、診断、計画、実施、評価までの一連の流れのなかで、各ポイントを解説。さらに、各領域での実習記録の実際を展開し、指導者からの視点を参考にすることで、実習記録の書き方のコツがみえてくる。
書籍目次詳細
目次

第Ⅰ章
1 実習で学ぶことの意味
2 看護過程とは
  1.情報収集とアセスメント
  2.アセスメントの統合と関連図
  3.全体像を捉えることの意味
  4.看護計画立案と実施評価
  5.サマリーとは
  6.経時記録と看護過程との関係

第Ⅱ章
1 「基礎看護学」実習記録の書き方
1 よく用いられるアセスメントの枠組み
基本的看護の構成要素である14の基本的ニード/基本的ニードに影響を及ぼす常在条件/基本的ニードを変容させる病理的状態
2 右大腿骨頸部骨折患者の看護過程の展開
  1.初対面のあいさつの場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開(①解説、②得た情報の整理とアセスメント、③全体関連図と全体像、④看護計画)
2.清拭の援助の場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開
3.臨床指導者への報告場面と、その後の看護教員への相談場面
場面の紹介/援助場面の振り返り/この場面での気づきのポイント
4.アセスメントの見直しと実施評価
学生の実施、評価の記録

2 「成人看護学」実習記録の書き方
1 急性期・慢性期共通の基礎的知識
1.よく用いられるアセスメントの枠組み
患者を機能でみることの意味/ゴードンの機能的健康パターン
2.周術期看護で押さえるべきポイント
3.患者への教育場面で押さえるべきポイント
2 大腸がんにより手術を受ける人の術前から退院までの急性回復期にある人の経過に沿った看護過程の展開
1.術前の場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開(①解説、②得た情報の整理とアセスメント、③全体関連図と全体像、④看護計画、⑤実施、⑥評価)
2.術後2日目の場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開(①解説、②得た情報の整理とアセスメント、③全体関連図と全体像、④看護計画、⑤実施、⑥評価)
3.サマリー

3 急性発症した人の回復期から慢性期に至る経過に沿った看護過程の展開(急性冠症候群)
1.緊急的な経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受け、トイレ歩行を初めて開始した場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開(①解説、②得た情報の整理とアセスメント、③全体関連図と全体像、④看護計画、⑤実施、⑥評価、⑦退院時サマリー)
2.退院後半年後の心臓カテーテル検査入院時の場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開(①解説、②得た情報の整理とアセスメント、③全体関連図と全体像、④看護計画、⑤実施、⑥評価)
3.サマリー


3 「小児看護学」実習記録の書き方

1 よく用いられるアセスメントの枠組み―成長・発達のとえ方
成長・発達の定義/成長・発達の一般的原則/成長・発達に影響を与える要因/形態的成長・機能的発達/心理・社会的発達
2 急性リンパ性白血病の1歳10か月児の看護過程の展開
1.初回入院で診断がついた場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開(①解説、②得た情報の整理とアセスメント、③全体関連図と全体像、④看護計画、⑤実施、⑥評価)
2.寛解導入療法開始の場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開(①解説、②得た情報の整理とアセスメント、③全体関連図と全体像、④看護計画、⑤実施、⑥評価)
3.支持療法時の場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開(①解説、②得た情報の整理とアセスメント、③全体関連図と全体像、④看護計画、⑤実施、⑥評価)
3 サマリー

4 「老年看護学」実習記録の書き方
1 よく用いられるアセスメントの枠組み
1.老年期のとらえ方
老年期の発達課題/発達の意味/分化による相違
2.加齢に伴う心身の変化
老化に伴う身体的変化/老化に伴う精神的変化
3.まとめ
2 パーキンソン病と認知症の合併のある高齢者の、誤嚥性肺炎を発症からリハビリテーション期までの経過に沿った看護過程の展開
1.肺炎のため急性期病院に入院した場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開(①解説、②得た情報の整理とアセスメント、③全体関連図と全体像、④看護計画、⑤実施、⑥評価)
2.急性期病院から療養病床に転棟してきた場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開(①解説、②得た情報の整理とアセスメント、③全体関連図と全体像、④看護計画、⑤実施、⑥評価、⑦サマリー)

5 「母性看護学」実習記録の書き方
1 よく用いられるアセスメントの枠組み
周産期における看護/ウェルネス(Wellness)の考え方
2 正常褥婦(初産婦)における産褥1日目の看護過程の展開
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開(①得た情報の整理とアセスメント、②看護計画、⑤実施、④評価、⑤サマリー)

6 「精神看護学」実習記録の書き方
1 アセスメントの枠組み
1.対象理解のための枠組み
医学モデルに基づく理解/セルフケアモデルに基づく理解/心理社会的発達モデルに基づく理解
2.患者―看護師関係の構築と発展のための枠組み:対人関係モデル
2 患者―看護師関係の相互作用と看護過程の展開:統合失調症を再発した青年の事例
1.場面:困っていることがあれば手伝いたいけど……
場面の紹介/プロセスレコード「困っていることがあれば手伝いたいけど…」/この場面での気づきのポイント/解説
2.場面:強くなって薬をやめたいBさん
場面の紹介/プロセスレコード「強くなって薬をやめたいBさん」この場面での気づきのポイント/解説
3.事例展開
①得た情報の整理とアセスメント、②全体像、③看護計画、④実施、⑤評価、⑥サマリー

7 「在宅看護学」実習記録の書き方
1 よく用いられるアセスメントの枠組み
情報収集の内容/情報分析の枠組み/全体図(全体関連図)の作成
2 脳梗塞で左半身麻痺があるケースの退院から地域の社会資源を活用して生活する経過に沿った看護過程の展開
1.退院カンファレンスの場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開〔①解説、②得た情報の整理とアセスメント、③全体像と全体関連図(全体図)、④看護計画、⑤実施、⑥評価〕
2.退院直後の初回訪問の場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開〔①解説、②得た情報の整理とアセスメント、③全体像と全体関連図(全体図)、④看護計画、⑤実施、⑥評価〕
3.自宅での生活に落ち着き、社会資源の利用が拡大される場面
場面の紹介/この場面での気づきのポイント/実際の事例展開〔①解説、②得た情報の整理とアセスメント、③全体像と全体関連図(全体図)、④看護計画、⑤実施、⑥評価〕
3 サマリー

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序文・はじめに・あとがき 等
まえがき
 臨地実習におけるストレスの上位に占めるものが、記録ではないだろか。いろいろな臨地実習の場で記録を書いているにもかかわらず、いつもうまくかけなくて負担だとつぶやく学生の皆さんを目にすることが多い。とくに、記録のなかでいちばん苦手意識をもつところがアセスメントだと思う。それは、新人看護師も同様であるし、もちろんベテランになってからもアセスメントがいちばん苦手と答える看護師が多いと思う。
 これほどまでに記録がストレスになるのは、おそらくアセスメントが難しいという先入観をもち、実習に臨んでも、なかなかほめてもらえないので、結果的にアセスメントは苦手という気持ちがぬぐえないまま、看護師を続けているのではないだろうか。
 さらに、指導者からいわゆる「つっこみ」が入るところもアセスメントである。対象者をとらえられていないと指摘される理由もアセスメントが十分でないからといわれる。何かにつけ、アセスメントが指摘の中心になっている。この指摘によって、いつしかアセスメントへの苦手意識だけが強く残り、自信がないまま過ごし、手応えもなければ向上している実感もないまま、いつまでもよいアセスメントだと評価されない経験を重ねているのだと思う。
 そう考えるのは、私自身もアセスメントでよいといわれた記憶はないからだ。それは臨床で看護師として仕事をしていたときも同様である。アセスメントが書けるようになったという他者からの評価を得ないまま、いつの間にか経験年数を重ねただけで、新人の指導役割を担当し、現在に至っている。そんな私が、このような実習記録の書き方について解説本を執筆したのは、臨地実習において「対象者のここは気がついてほしい」という願いを伝えたかったからである。
 学生の皆さんと一緒に事例学習をしたり、臨地実習において実際に看護過程を展開したりするなかで、書き方に関する形式的な型に当てはめたがる傾向を崩したい、そんな気持ちで本書を書いた。うまくかけなくても、実習記録は、看護の対象者のこのようなことに気がつき、このようなことで困っているに違いないととらえたのだと、学生の皆さんが表現できる場である。それゆえ、学生の皆さんがとらえたそのままを素直に表現してほしいと願う。
 本書は、2部構成になっている。第1章は、看護記録とよばれるものの基本事項と記録の書き方のコツについて解説した。第2章は、基礎看護学、成人看護学、老年看護学、小児看護学、母性看護学、精神看護学、在宅看護学に分け、それぞれの領域において必要な基礎知識を解説したうえで、場面ごとに看護過程を展開した。とくに、臨地実習で学生の皆さんが看護の対象者の看護過程を展開するうえで遭遇しやすい場面について、事例を変化するものとしてとらえる視点を大切に、場面ごとに看護過程の展開例を示してみた。
 本書の特徴は、看護計画を立案し実際に実践し、その実践を評価するということに重点を置き、展開したことにある。このように場面重視の書き方にしたのは、机上の事例学習では学びにくい、対象者の変化に応じて看護過程を展開するという、臨地実習では当たり前のことを伝えたいためである。これこそが臨地実習の重要な学習課題であり、それに気がつけば、実習記録はそれほど難しくないと考えたからである。このような視点を描くために、多少内容が繰り返しされているように読者の方には見えるかもしれないが、看護介入してはそれによる対象者の反応をとらえ、そこからまた次の看護へと展開するその学習過程の理解に役立てば幸いである。そして、学生の皆さんのみならず臨地において学生の指導的立場になった方はもとより、新人看護師の皆さんとその指導にあたるプリセプターの皆さんにも参考になればと考える。
 最後に、本書の趣旨を理解し執筆してくださった執筆者の皆様とサイオ出版の皆様に、記して感謝申し上げたい。

2015年3月
福田美和子

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