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医療現場の応対用語
医療現場の応対用語
著者名 著:江藤 かをる
発行年月日 2017年1月13日
判・頁数 B6判 144頁
ISBN 9784907176556
定価(10%税込) 定価 2,090円(10%税込)
在庫 在庫あり 
書籍概要
医療現場において「簡単、すぐに使える、患者満足につながる」をコンセプトに企画された正しい敬語が身につく本。数多くの病院や看護学校において、患者接遇やコミュニケーションの研修を多く手掛けてきた著者が贈る医療ビジネス会話集。
書籍目次詳細
目次 第1章 きっかけづくりの言葉や用語  挨拶は、人間関係づくりの第一歩    挨拶にはその人の社会性が現れる    初対面の挨拶は、真剣勝負    挨拶で相手の緊張を解きましょう  挨拶と返事の言葉    挨拶の言葉    返事の言葉  職場での挨拶言葉    挨拶の使い分けはどこから?    入室の際には、ノックを先に  挨拶のまとめ    挨拶で職場風土がわかります    仕事ができる人ほど先に挨拶する    目上のほうから積極的に挨拶を    質問するときの言葉・用語    いろいろな場面で使える言葉    呼称に気をつけましょう     PS応対のポイント  サービスは無形    医療は無形の価値を提供する業種    人はストロークを求めている 第2章 PS応対用語  患者満足(PS)は5つの物差し    応対で評価が決まる    クッション用語とは    受付時    初診の方ですか    「ください」は命令形!?    診療時    受付での「どうなさいましたか」には注意が必要    病室などで    配膳時    下膳時    検査室などで    的確に伝える工夫が必要    コミュニケーションのデメリット  方言について    友だち言葉について    プロの医療者とは 第3章 一歩差がつく応対用語  電話応対    電話の特徴    電話応対のポイント    電話応対の注意点  注意が必要な場面─院内アナウンス    アナウンスが必要な場面  各シーンでの言葉  会話のきっかけは?    会話を次につなげる  高齢者応対    高齢者応対での勘違い  敬語について    言葉の成熟度と自立  禁句集    言葉の言い換えを!    PSサポーターの配慮 第4章 PS応対レベルアップ用語  苦情対応のポイント    心構えと応対方法    苦情対応の注意点    こじれたときには  苦情を未然に防ぐことが重要    苦情をつくり出さない  接遇教育について    未熟な医療サービスの原因は応対マナーに  専門用語について    言葉を言い換えるだけでは不十分    意味の説明が必要な言葉  職員間で注意が必要な言葉    聞き間違いやすい言葉    職種間で意味が違う略語 おわりに

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序文・はじめに・あとがき 等
はじめに  人材育成の仕事に就いておよそ30年、医療現場の人材教育にかかわり20年以上が経ちました。この間、患者さまやご家族はもちろんのこと、医療者同士のコミュニケーションで悩み苦労されている現場の皆さまに、たくさんお目にかかりました。  現場の皆さまのコミュニケーションや人間関係のご苦労を見聞きするたびに、あと少し言語や非言語のコミュニケーションスキルを磨けば、患者さまや利用者さまから喜ばれるのに、職員同士が気持ちよく協力しあえるのに、ともどかしく思っておりました。  ここ数年看護学生さんたちとかかわる機会が一層増えたのですが、実習時に患者さまや職員の方々との会話で苦労していると何度もうかがいました。  筆者が行っている研修には、患者応対だけでなく医療者同士のコミュニケーション技術を含んだものがあります。研修では筆者が使う応対用語をどの参加者も熱心にメモしてくださいます。この様子を拝見するにつけ、多くの医療現場で言葉の苦労をされている方が数多くいるのではないか? 細かい文法はさておき、学生さんから管理者まで使える「応対用語の基礎的なテキスト本」があるとお役に立つのではないか? と漠然と考えるようになっていました。  本書は以下の2点を前提としています。 1. 2つのPS  医療・介護にとって重要な指針ともなるべき考え方は、PSです。  PSとはParticipant Satisfactionの頭文字をとったもので「参加者満足」を指します。また、PSはPatient Satisfaction「患者満足」も意味しています。一昔前、旧厚生省(現厚生労働省)が医療現場にPSの医療提供を説いていましたが、このときのPSは、Patient Satisfaction(患者満足)だけを指していました。  筆者も当時、患者満足のサービス提供に焦点を当てて、執筆や研修を行っていました。しかし、ここ数年は、PS(患者満足)を実現するうえで重要な、もう一つのPS(Participant Satisfaction)、つまり参加者満足をベースの考え方として紹介しています。  患者満足を実現するためには職員満足(EmployeeSatisfaction)は欠かせません。  また、職員だけでなく、委託業者などの取引先や関係する医院や病院、地域住民など、その組織とかかわるすべての人々の満足をも視野に入れた組織やシステムづくりがあってこそ、患者満足の医療が可能となります。  その根幹となる考え方がParticipant Satisfaction(参加者満足)です。Participant(参加者)にはPatient(患者)も含まれるのですが、筆者はサービスの主体となる患者は、Participant(参加者)にはあえて含めず、以下のようなイメージを提唱しています。  本書で紹介する内容は、上記どちらのPSも実現できる応対を目指しています。  患者や介護される側といったサービス利用者だけでなく、家族、職員、取引先など、皆が気持ちよく協力しあえる関係づくりを、「言葉」で行うことに焦点を当てました。  PSやサービスに関しては、拙著『看護サービスマネジメント』(医学書院)を併せてお読みいただくと理解が深まると思います。 2. 2つの「コミュニケーション」  コミュニケーションは、言語(バーバル verbal)+非言語(ノンバーバル non verbal)で行われます。言語は言葉を、非言語は目つき、表情、ジェスチャーなど言葉以外を指します。  コミュニケーションというときには、言葉をどう使うかに意識が行き過ぎる方が多いのですが、コミュニケーションをうまく図ろうと思うなら、非言語の影響を考慮することも必要です。  言葉は重要ですが、言葉の使い方だけを向上させても、コミュニケーションがうまくいかないことがあります。  たとえば、「○○さまは、こちらの病院は初めてでいらっしゃいますね。手術をお受けになるということでご心配でしょうが、私どもが精いっぱいお世話をさせていただきますので、どうぞご安心ください」と職員が敬語でとても丁寧な言葉で応対をしたとしましょう。  以下、上記の3つの言い方を記載しました。 ・低く抑揚のない声で、表情を変えずに言われた場合 ・優しい表情と穏やかな声で言われた場合 ・上記を、友だち言葉でなれなれしく言われた場合  患者が安心して入院・手術を受けることができる言い方は、あえて番号を示さなくてもおわかりいただけると思います。  本書の記述では、主に応対場面での言葉や用語(言語コミュニケーション)をご紹介していますが、これらは、望ましい非言語コミュニケーションと同時に使ってこそ、良いサービス提供につながります。このことを前提に本書を読み進めてほしいと思います。  なお患者という呼称に関してはいろいろな考え方がありますが、本書では患者さまや患者さんではなく「患者」と表記しました。本書における患者の表記については、p.123に詳しく解説していますのでご参照ください。

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