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看護技術ベーシックス 第2版
看護技術ベーシックス 第2版
著者名 編著:藤野彰子、長谷部佳子、間瀬由紀
発行年月日 2017年3月3日
判・頁数 A5判 784頁
ISBN 9784907176570
定価(10%税込) 定価 5,280円(10%税込)
在庫 在庫あり 
書籍概要
臨地実習に役立つ“看護技術とその根拠”が理解できるサブテキストとして好評を博した書の改訂版。各項目とも全面的に見直しを行うとともに、新たに「個人防護具(PPE)」「体液・電解質のバランス」「尿失禁・便失禁のケア」「整容」「胸腔穿刺」「腹腔穿刺」「骨髄穿刺」「注意を必要とする薬物」「末梢循環促進ケア」「ペースメーカー」「創傷処置」の10項目を加え、より使いやすい内容となった。また、これまで以上に見やすく、わかりやすくするために、フルカラーにした。
書籍目次詳細
第1章 看護の基本
Ⅰ 安全の確保
1. 安全に影響を及ぼす要因の排除
2. 臨地実習での安全確保-学生が徹底すべき安全対策
Ⅱ 感染予防
1. 手指衛生
2. 個人防護具(PPE:personal protective equipment)
3. 医療器材の取り扱い
4. 医療廃棄物の取り扱い
5. 職業感染対策(針刺し対策)
6. 無菌操作
Ⅲ 効率的な身体の動かし方
1. ボディメカニクス
Ⅳ アセスメントの技法
1. バイタルサイン測定
2. フィジカル・アセスメント

第2章 日常生活の援助技術
Ⅰ 環境の調整
1. ベッドメーキング
2. リネン交換
Ⅱ 食事・栄養
1. 嚥下機能・栄養アセスメント
2. 体液・電解質バランス
3. 食事の介助
4. 経管栄養法
Ⅲ 排泄
1. 床上の排尿・排便援助
2. ポータブルトイレやトイレでの援助
3. 尿失禁・便失禁のケア
4. オムツを用いた援助
5. 導尿
6. 膀胱内留置カテーテル法
7. 浣腸
8. 摘便
9. ストーマケア
Ⅳ 清潔
1. 入浴・シャワー浴
2. 全身清拭
3. 洗髪         
4. 手浴・足浴
5. 沐浴
6. 口腔ケア
7. 陰部洗浄
8. 寝衣交換
9. 整容
Ⅴ 活動・休息
1. 睡眠の援助
2. 安静への援助
3. 関節可動域(ROM)訓練
4. 体位変換
5. 移動・移送の援助
6. 転倒・転落防止策
Ⅵ 安楽
1. リラクセーション
2. マッサージ
3. 罨法

第3章 診療にかかわる技術
Ⅰ 検査の技術
1. 尿検査
2. 血液検査
3. 簡易血糖検査
4. 動脈血ガス分析
5. 上部消化管内視鏡
6. 下部消化管内視鏡
7. 気管支鏡
8. 腰椎穿刺
9. 胸腔穿刺
10. 腹腔穿刺
11. 骨髄穿刺
12. 心臓カテーテル検査
Ⅱ 与薬の技術
1. 経口与薬
2. 口腔内与薬
3. 直腸内与薬
4. 単純塗布
5. 点眼
6. 注射
7. 輸液
8. 持続硬膜外麻酔
9. 持続皮下注入
10. 輸血
11. 注意を必要とする薬物

第4章 成人・老年看護学実習で必要な技術
Ⅰ 呼吸・循環にかかわる技術
1. パルスオキシメータ
2. 酸素吸入療法
3. 在宅酸素療法
4. 体位ドレナージ
5. 気管内加湿法(超音波ネブライザー)
6. 吸引(口腔・鼻腔内吸引、気管内吸引)
7. 人工呼吸器
8. 心電図
9. 低圧胸腔内持続吸引(胸腔ドレナージ)
10. ペースメーカ
Ⅱ 救命救急
1. 胸骨圧迫
2. 気道確保
3. 人工呼吸
4. 電気的除細動
5. 止血
Ⅲ 周手術期の看護
1. 術前の準備
2. 術後の全身管理
3. 術後の創傷処置
Ⅳ 皮膚・創傷に関する技術
1. 包帯法
2. 褥瘡予防
Ⅴ がん患者の看護
1. がん治療の看護
2. がん治療に伴う副作用のケア
Ⅵ 糖尿病の患者教育の実践
1. 食事指導
2. 糖尿病、低血糖症状の理解
Ⅶ 終末期の看護
1. 終末期の苦痛緩和と最期の別れ
引用・参考文献
索引

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序文・はじめに・あとがき 等
まえがき

 このたび看護技術ベーシックの第2版を出版することになりました。第1版を出版したのは、今から12年前の2005年(看護技術ベーシック、医学芸術社刊)でした。それから2度の改定を行いましたが、内容的に古くなっている部分も多々ありましたので、このたび全面改訂しました。10年以上にわたり、指定図書としてこの本を使っていただきました皆様の声にお応えをし、内容を一新することができ大変うれしく思います。また、はじめて手にとっていただきました皆様にも喜んでいただけることを願っています。
 医療や福祉をとりまく社会の情勢は大きくかわり、それにともなって、わが国の看護の環境も変わりつつあります。高度医療における経済的な問題、医療事故、医療関係者との信頼関係の欠如など、さまざまの問題があります。しかし、そのなかで患者さんと医療者の信頼関係を構築し、患者中心の医療を行う努力もなされています。自分の治療はみずからが決めていくという自己決定についても、理解が得られるように変わってきました。
 また、疾病構造も慢性疾患の増加という特徴がみられ、人が長生きをするようになりました。みずからの健康はみずからマネジメントすることが重要となり、セルフケアを上手に行い、病気をもちながらも質の高い生活が送れるようになりました。そこでは私たち医療関係者は、サポーターとしての役割が問われます。
 さらに、高度に進歩した医療のなかでは、患者さんの側に立って生活をコーディネイトできるような看護師が必要とされます。このためには看護教育がとても大切になります。現在の教育の方向性はアクティブ・ラーニング(能動的学修)が重要であるといわれています。
 学生みずからが、考え学ぶことで教育の成果が現れるという考え方で、これは看護教育にも取り入れられています。看護技術教育に関しても、かってのように先生がモデルを見せて学生がそれをみて学ぶという方法から、学生みずから学修し、学友や教員と話し合いながら学んでいきます。DVDをみて予習したり、みずからの看護技術をタブレットを使って記録し、それを見ながら学修をすることもできます。このように看護教育の方法は、大きく変化しています。
 また、看護教育において臨地実習は、欠かすことのできない大切な教育方法です。学生の経験を活かした実習教育が行われつつあります。学生と教員、学生と患者さんのケアリングのなかで学ぶことで、より安全で正確で、思いやりと倫理観にあふれる看護技術が提供できます。
 私は、自分自身が看護教育を受けている間は、あまりいい学生ではありませんでした。授業にも出ないで、図書館で本を読んでいるような学生でした。しかし、働き始めたCCUでは、こんなにおもしろい仕事があるのかと思うようになりました。この仕事のおもしろさを学生に伝えたいと思い、長年看護教育に携ってきました。
 看護のおもしろさとはなんでしょうか? 一人ひとりの患者さんには、それぞれに人生があり、病気と闘いながら生きています。その方々との看護ケアをとおして触れ合うことができ、その患者さんの物語からたくさんの学びをし、患者さんとともに、私自身も成長してきました。これがナラティブ・メディスンであることを後に学びました。看護の語りと看護することの喜びを知ることが、患者さんに寄り添うということにつながります。
 このような経験をすることのできる、看護の基盤となるものが看護技術です。看護技術はどのように学べばよいのでしょうか? 本書ではその学修について、学内での初歩の段階から、臨地実習を重ねていくに従って高度になっていく過程を、やさしいところから徐々に学べるようになっています。またその内容は厚生労働省の「看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会」に沿って90項目をカバーしています。
 また技術の根拠について、最新の知見を網羅して、根拠に基づいた看護技術が学べるように2段組で対照させて説明しています。また各項目にフローチャート入れていますので、これを見れば、全体として何を学びどこが重要なポイントかがすぐに理解できます。また、カラーの写真やイラストをたくさん取り入れ、わかりやすいような工夫をしています。以上のような特徴とともに、患者さんを統合された人とみるというホリスティクなとらえ方を取り入れました。暖かい気持ちで看護し、患者さんとともに看護師も成長するというケアリングの考え方など、看護教育に関する新しい考え方も盛り込んでいます。
 ぜひ、この本で看護技術について学び、安全でかつ安楽な看護が実践できますようになっていただきたいと思っています。

2017年2月
藤野彰子

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