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看護必要度データから始まる臨床看護マネジメント
看護必要度データから始まる臨床看護マネジメント
著者名 監修者:嶋森好子(岩手医科大学看護学部長)ほか
発行年月日 2018年9月20日
判・頁数 B5判 190頁
ISBN 9784907176709
定価(10%税込) 定価 2,530円(10%税込)
在庫 在庫あり 
書籍概要
現場で必須とされる「看護必要度」データを臨床看護のマネジメントに活用していくための入門書! 付属のDVDには、「'18 重症度、医療・看護必要度評価者院内指導者研修」での「評価方法のビデオ」を収載。さらに、2018(平成30)年度の診療報酬・介護報酬の同時改定では介護との連携が強く求められており、そのための入退院支援ツール(様式1~6)も合わせて収載した。
書籍目次詳細
<主な内容> 第1部 医療機関における患者評価の意義─様式化されたデータとしての「看護必要度」 1.社会保障制度持続化のための医療提供体制の改革─2018(平成30)年度診療報酬改定の背景とこれからの課題 2.診療報酬における「看護必要度」活用の経緯 3.医療政策のエビデンスとなった様式化された「看護必要度」データ 第2部 医療機関における患者評価の根拠となる記録の考え方と体制整備 1.なぜ記録を作成するか 2.看護を表わす記録 3.「看護必要度」に必要とされる記録 4.看護記録の具体例   1)兵庫県立尼崎総合医療センターの取り組み   2)小倉記念病院の取り組み   3)筑波メディカルセンター病院の取り組み 5.記録の訓練 6.「看護必要度」の監査 第3部 新たな「重症度、医療・看護必要度・ 」の評価の実際とマネジメントへの活用─ビデオ事例の理解と評価のために 1.患者評価の実際と留意点 2.患者評価の信頼性を高めるための院内の連携 3.患者評価の看護管理への活用 第4部 入退院マネジメントに必要な「看護必要度」データを用いた患者評価 1.入退院マネジメントにかかわる政策動向 2.患者評価をもとにした入退院支援システムの展開 3.継続的支援を実現するセルフマネジメント支援の取り組み 第5部 2018年度診療報酬改定が医療機関のマネジメントに与える影響 1.患者評価としての「看護必要度」データの意義─2017(平成29)年度入院医療等の調査・評価分科会の議事録から 2.「重症度、医療・看護必要度・」におけるDPCデータの活用と問題 3.医療機関に求められる新たなマネジメント

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序文・はじめに・あとがき 等
はじめに 高齢化が進み、慢性疾患を抱える者が増える中で、高齢患者の健康や容態にかかわる介入には、多職種による複数の活動の連携が必須となった。ただ、こうした活動が本当に高齢患者を改善させるかといったアウトカムは十分でないこともよく知られている。これは患者の改善だけでなく、悪化に関しても同様である。  こういった医療や看護サービスという介入行為が患者の状態にどのような影響を与えるのか、また、その関係性はいかなるものかを示すためには、介入行為に関する情報を定期的かつ日常業務に組み込まれる形で評価し、データとして蓄積していく必要がある。  本書のテーマである「看護必要度」によるデータは、医療や看護サービスのアウトカムの評価のための基本条件となる『定期的かつ日常業務に組み込まれる形で評価が実施され、蓄積されてきた』、わが国で唯一のデータであり、極めて貴重といえる。  一方、「看護必要度」は、日本の医療政策においても入院患者の重症度を規定するための指標として、長年にわたって重要な役割を果たしてきた。すでに「看護必要度」を用いて算出される重症患者の該当割合は、医療機関の機能分化を図る際のメルクマールとしても利用されている。  2018(平成30)年度の診療報酬改定では、2008(平成20)年から一般病棟入院基本料の算定要件として用いられてきた看護必要度の評価項目を用いた評価票「(旧)一般病棟用の重症度、医療・看護必要度〔(現)一般病棟用の重症度、医療・看護必要度・〕」に加え、診療報酬請求区分の診療実績データを用いて、医療処置に係るA 項目とC 項目の評価を代替する〔(現)一般病棟用の重症度、医療・看護必要度・〕が選択できることになった。このような診療実績データを用いた重症患者割合の評価を可能としたのは、「看護必要度」データによって、重症患者像を明示化してきたからといえる。  今回、示された診療実績データを用いた重症患者割合の算定方法は、さらなる検討が必要な状況ではあるが、入院医療機関の評価が、患者の容態と医療や看護サービスの介入行為の実績値を基礎とするという国としての道筋は示したといえる。  このようなことを鑑みれば、臨床に携わる多くの医療職にとって、「看護必要度」は引き続き理解を深め、さらなる利活用を進めていくべき指標であるといえる。本書は、これからも必須とされる「看護必要度」データを臨床看護のマネジメントに活用していくための入門書として、さまざまな視点から「看護必要度」をとりあげている。  第1部では、2018(平成30)年度の改定で診療実績データから重症患者を推定するための外的基準とされた「看護必要度」の特徴を述べ、これが今日までの患者の評価の基本となってきたことや、「看護必要度」の成立の背景が説明されている。  第2部では、「看護必要度」の評価の根拠となる看護記録に必要とされる要件と、この記録を病院内で、本来の意味において、システム化されてきた病院を紹介し、その取り組みのプロセスについても紹介している。  第3部では、2018(平成30)年度改定で変更された「重症度、医療・看護必要度・」となった看護師の看護過程の評価を基礎としたマネジメントへの活用策について、その具体例が示され、説明が加えられている。  第4部では、2018(平成30)年度の同時改定で推進すべきとされた入退院支援における「看護必要度」データの具体的な利用方法が示されている。入退院支援に関わる加算は、従来の退院支援加算から、とくに介護との連携を強化することを求めて改正が加えられている。こういった入退院支援を含め、今後、病院にとっては地域包括ケアシステムにおけるポジショニングが重要となること等が説明されている。  第5部は、新設された「重症度、医療・看護必要度・」の成立経緯が示され、この評価を正確に行うためには、病院内の臨床的統合や、部署間の機能的統合が必須となることを、事例を示しながら、述べられている。  「看護必要度」は、病院経営や臨床現場の日々のマネジメント、そしてイノベーションを起こすために極めて有用な指標となった。おそらく、これほど臨床現場に普及した指標は、これまでにはなく、その利活用は、さらに推進されねばならない。そのためには、まず「看護必要度」の特徴を医療や看護サービスにかかわる多職種が理解し、これを運用するためのルールとロールが定められねばならない。そして、これらを前提とした、すべての臨床現場で利用しやすいマネジメント方法が求められているのである。  本書の内容が病院や地域における医療や介護領域のマネジメントに少しでも役に立つことを願っている。 2018 年7月 筒井 孝子

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