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看護・医療系のための情報科学入門 【第2版】
看護・医療系のための情報科学入門 【第2版】
著者名 著:椎橋 実智男(埼玉医科大学医学部教授)
発行年月日 2020年2月5日
判・頁数 B5判 216頁
ISBN 9784907176822
価格(税別) 本体価格 2,500円+税
在庫 在庫あり 
書籍概要
情報、パソコン、ネットワーク、統計など、それらと看護の接点を、身近な看護の状況を取り上げてわかりやすく解説。
書籍目次詳細
情報処理編
1. 情報化による医療の変化 −なぜ今、情報科学を学ばなければならないのか
 1. 1つの重要な提言
 2. 医療の情報化の果たすべき役割
 3. 医療の情報化に対応するために
2. 情報と情報処理 20
 1. 情報とは
 2. 情報処理の流れ
 3. 情報の媒体と伝達
 4. 情報の量
 5. 情報の保護
 6. 情報処理とコンピュータ
 練習問題
3. コンピュータの概要
 1. 現代社会の重宝な道具:コンピュータ
 2. コンピュータであるための条件
 3. コンピュータの4 つの機能
 4. コンピュータの種類
 5. コンピュータの歴史
 6. コンピュータ・システムの構成要素
 7. コンピュータのハードウェア
 8. コンピュータのソフトウェア
 9. コンピュータのセキュリティ
 練習問題
4. コンピュータの仕組み
 1. 2 進数と16 進数
 2. コンピュータ内のデータ表現
 3. コンピュータにおける情報量の表現
 4. 論理演算(論理積、論理和、否定)
 5. 論理演算回路(AND 回路、OR 回路、NOT 回路)
 6. 加算回路と記憶回路
 7. フローチャート
 8. プログラミング言語
 補足:画像データの仕組み
 練習問題
5. コンピュータ・ネットワークとインターネット
 1. コンピュータ・ネットワークとは
 2. コンピュータ・ネットワークの通信回線
 3. コンピュータ・ネットワークのプロトコル
 4. TCP/IP による通信の仕組み
 5. 一般的な組織内ネットワークの例
 6. インターネットとは
 7. 電子メールの仕組み
 8. ウェブページ(ホームページ)の仕組み
 9. コンピュータ・ネットワークのセキュリティ
 練習問題
6. 医療とコンピュータ
 1. 医療現場におけるコンピュータの利用
 2. 病院情報システム
 3. 医療とインターネット
 練習問題

統計処理編
1. 統計処理の概要
 1. 統計処理とは
 2. 統計処理と情報処理
 3. 統計処理の分類
 4. 統計処理のための基本的な概念
 練習問題
2. 記述統計
 1. 計量データの記述 
 2. 計数データの記述
 3. 2 変数の関係(散布図、相関係数、回帰直線)
 4. 正規分布
 練習問題
3. 推測統計
 1. 推測統計とは
 2. 母集団と標本
 3. 標本の抽出
 4. もう一度、正規分布
 5. 推定(点推定と区間推定)
 練習問題
4. 仮説検定
 1. 仮説検定とは
 2. t 分布を用いた平均値の検定
 3. t 分布を用いた平均値の差の検定(対応のない検定)
 4. t 分布を用いた平均値の差の検定(対応のある検定)
 5. ノンパラメトリックな検定
 6. 計数データの検定(2×2分割表の検定)
 7. 有意水準の意義と表現方法
 練習問題
付録
・ 文字コード① ASCII コード
・ 文字コード② JIS コード
・ JIS 漢字コード(一部)
・乱数表
・正規分布表①(片側)
・正規分布表②(両側)
・ F 分布表
・ t 分布表①(片側)
・ t 分布表②(両側)
・カイ2乗分布表(片側)
練習問題解答

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序文・はじめに・あとがき 等
はじめに
 「患者中心の医療、安全な医療」という社会の要望を実現する1つの方法として、「医療の情報化」が進められています。オーダリング・システム、電子カルテ・システム、インターネットを利用したさまざまな医療の提供や医療情報の発信など、ほんの少し前まで想像の世界にあったものが、現実のものとして医療を変えつつあります。今日の病院をみると、受付、診察室、検査室、薬局、会計などあらゆる場所にコンピュータが設置され、そのことを実感します。コンピュータは、よりよい医療を提供するために欠くことのできない貴重な「道具」なのです。
 あえてコンピュータを「道具」とよんだのには理由があります。1つは、よくいわれるように「コンピュータに使われるのではなく、コンピュータに作業をさせて人間はコンピュータにはできないより創造的な仕事を行う」という意味での道具です。もう1つは、「使おうとする道具の特性を知らなければ、どんなにすばらしい道具であってもいい仕事はできない」という意味の道具です。たとえば、大抵の大人は、多少「ガタ」があるハサミでも紙や布を上手に切ることができます。ハサミは2つの刃が非常に接近した状態ですり合わさることで紙や布を切ることができるという道具の仕組みを知っているから、無意識に「刃がよりよくすり合わさるように」ハサミを使うからです。ところが、小さい子どもは、「ガタ」があるハサミで紙や布を切ることは苦手です。ハサミという道具の仕組みを理解しないで、大人のやっているように開いたり閉じたりしているからでしょう。コンピュータはよい医療を提供するために必要な道具です。だからこそ、その仕組みを知り、特性を知ったうえで上手に使わなければならないのです。
 一方、統計処理は、医学研究や看護研究の成果を発表するための情報処理の手段として欠かせない「道具」です。今日の統計処理はコンピュータに頼るところが大きくなり、統計処理の計算を正しく行う能力の重要性は以前ほど高くありません。それよりも、どういうデータに、どんな統計処理をしたとき、その結果はどのような意味をもつのか、について解釈できる能力が必要となります。つまり、研究のためにデータを集めたら、それをどのように統計処理することで自分の主張したい事実を相手に伝えることができるかを判断し、実践する能力が要求されます。また、「このデータは統計処理したから間違いありません」といわれたとき、それを鵜呑みにせず、示された結果が正しく統計処理されているか否かをみきわめられる能力も要求されているのです。
 本書は、看護・医療系の情報科学の入門書として、「情報処理編」と「統計処理編」で構成されています。「情報処理編」と「統計処理編」は、独立した内容ですから、統計処理に興味のある方は「統計処理編」から読み始めてもいいでしょう。
 「情報処理編」では、最初に、医療関係者がなぜ情報科学を学ばなければならないのかを理解してもらうために、医療の情報化について概説しました。それを動機づけとして、情報処理の理論、コンピュータの仕組み、コンピュータ・ネットワークやインターネットの仕組み、医療とコンピュータについて基本的な事柄を学びます。
 「統計処理編」では、基本的なデータの取り扱い、記述統計の概要について確認し、推測統計の区間推定と仮説検定の初歩的な内容について学びます。なお、統計処理編では、その導入部分を学ぶことを目的に、数式を最小限にとどめて、統計処理の考え方や結果の解釈に重点を置きました。そのため、一般的な統計学の教科書とは異なる表現を用いた部分や、精密さに欠ける箇所があるかもしれません。詳細な説明や数式が不十分な箇所については、巻末の参考書を参照して
ください。
 本書は、コンピュータや統計処理があまり得意ではない方を対象にしています。そのため、できるだけ馴染みやすいよう、数多くのイラストを掲載しました。また、各ページの右側には注釈として、本文のなかで説明が足りないと思われる点について解説してありますので活用してください。ところどころには、「BREAK」としてこぼれ話も加えてあります。各章末の練習問題は、各章を終えた段階で、学習した内容の確認に利用してください。
 本書を講義に用いる場合の目安を、情報科学の科目として45 時間使用できる場合と、30 時間使用できる場合に分けて、筆者らの拙い経験から申しあげると以下のようになります。ただし、これはあくまでも目安であり、それぞれの学校の環境に応じて適宜調整してください。また、下記に示したコンピュータの演習時間は必ずしも十分ではないため、時間外の演習課題で補う工夫も必要となります。時間外のコンピュータ利用が困難な場合は、講義時間を縮めてでも、コンピュータ演習の時間を確保されることをお奨めします。
45 時間の場合:情報処理編は1章から6章の各章をそれぞれ2時間、統計処理編は1章と2章を合わせて4時間、3章から4章をそれぞれ4時間の講義とする。これに加えてコンピュータ演習を、基本操作とキーボード練習4時間、ワープロ4時間、表計算6時間、プレゼンテーションソフト4 時間、インターネット2時間を目安として行う。情報処理編の1 章については、あらかじめ読んでもらい、講義の時間は内容の確認だけにするのもよいでしょう。
30 時間の場合:情報処理編は、1章は予習のみとし、2 章から6章の各章をそれぞれ2時間、統計処理編は1章と2章を合わせて4時間とし、3章と4章は2 時間で簡単な解説を行う。コンピュータ演習は、基本操作とキーボード練習にワープロを合わせて6時間、表計算4時間、プレゼンテーションソフト2時間、インターネット2時間を目安として行う。もし、統計学が別の科目として組まれている場合は、統計処理の時間をコンピュータの演習に割り当てるとよいでしょう。
 本書が、看護・医療職をめざす学生諸君や、すでに現場で働かれておられる方々の「情報科学への入り口」として、少しでもお役に立てれば幸いです。
 最後になりましたが、本書の出版に際しお世話になった多くの方々に感謝致します。とくに、看護学校での講義の経験を踏まえて多くの有用な助言をくださった佐藤義文氏のご厚意に対し、ここにその名を記して感謝の意を表します。

2020 年1月
椎橋 実智男
鈴木 康文

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