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女性の更年期症状緩和のための認知行動療法
女性の更年期症状緩和のための認知行動療法
著者名 監訳:髙橋 眞理(文京学院大学大学院特任教授)
発行年月日 2023年11月24日
判・頁数 B5判 176頁
ISBN 9784867490174
定価(10%税込) 定価 3,960円(10%税込)
在庫 在庫あり 
書籍概要
更年期障害に悩む女性たちのための認知行動療法テキスト。
書籍目次詳細
主な内容
第1部 更年期障害、症状、治療法について 
  第1 章 更年期障害(閉経)について学ぶ
  第2 章 自分の症状を認識する
  第3 章 治療法の選択
  第4 章 認知行動学的アプローチ

第2部 更年期症状に対する認知行動療法
  第5 章 ホットフラッシュと寝汗のコントロール
  第6 章 不安への対処
  第7 章 抑うつおよびその他の感情への対処
  第8 章 夜間の睡眠をよりよくするために
  第9 章 泌尿生殖系の問題と性の悩みへの対応
  第10章 獲得したものを統合する 今後に向けて

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序文・はじめに・あとがき 等
日本語版の発刊に寄せて

本書は、シェリル M. グリーン博士(Sheryl M. Green)、ランディ E. マッケイブ博士(Randy E.McCabe)、クラウディオ N . ソアレス医学博士(Claudio N. Soares) らによる著書“The Cognitive Behavioral Workbook for Menopause: A Step-by-Step Program for Overcoming Hot Flashes, Mood Swings, Insomnia, Anxiety, Depression, and Other Symptoms”(2012年初版)を全訳したものです。原著出版当時、著者らはマクマスター大学(カナダ)の健康科学部精神神経行動学准教授(シェリル・グリーンとランディ・マッケイブ)、精神医学・行動神経科学および産婦人科教授(ソアレス医学博士)であり、健康心理学とCBT(シェリル・グリーン)、不安とCBT(ランディ・マッケイブ)、精神医学、女性の健康そして更年期(クラウディオ・ソアレス)という、それぞれ異なる専門分野を生かした共同研究プロジェクのもとに本書を執筆されました。
 海外では更年期障害の治療として、心理療法やカウンセリングなどによる非薬物療法の効果も期待されており、なかでも更年期障害の症状への対処に、認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy)を用いることは、研究成果からも支持されてきました。一方わが国では、更年期障害の治療は、薬物療法が中心であったことから、これまであまり認知行動療法による治療は注目されてきませんでした。しかし、最近、女性のメンタルヘルス支援の関心が高まるなかで、産後のうつや不安への対処とともに、更年期障害への対処に認知行動療法の有効性が報告され始めています。
 心理療法の1つである認知行動療法は、昨今その書籍は数多く、最近はセルフメディケーションとして、セルフCBT や短時間(10分間)CBT も考案され、アプリ開発も進んでいます。しかし、これまで女性の更年期障害に特化して書かれた認知行動療法のテキストやアプリは見当りません。そこで、本書『女性の更年期症状緩和のための認知行動療法』は大変実践的な本なので、原著を翻訳することは、ホルモン補充療法や漢方薬の補助療法だけでなく、単独で効果的に用いるために非常に役立つと考え、翻訳を進める運びとなりました。
 本書は、更年期障害の症状で悩んでいるがHRT は避けたい人、HRT をやめたい人、医学的理由でHRTを避けなければならない人、そして薬物療法で症状がコントロールされない女性にお勧めです。読者の皆様は、本書のワークを用いることで、ホットフラッシュの軽減、気分の落ち込みを食い止め、その他の身体症状をコントロールすることを体験されるでしょう。
 本書の翻訳にあたっては、4 年前に当時順天堂大学大学院医療看護学研究科ウイメンズへルス看護学ゼミで更年期女性の健康を研究テーマとするメンバーを中心に進めました。その後は分担翻訳を進め、心理学の認知行動療法研究者である佐藤洋輔先生に加わっていただきました。しかし、コロナ禍で翻訳作業が一時中断はしましたが、今回このように出版の運びとなりました。
 本書は、更年期障害に悩む女性たちが読むために書かれています。女性たちは、閉経移行期の自分の身体に何が起きているのかを正確に知ることができ、気分の改善にむけて、一人ひとりの女性に合った治療計画を立てることができます。さらには、認知行動療法の情報、戦略、リソース、支援ネットワークなどについて学習できる、家族や医療従事者のためにも役立つ書です。エビデンスに裏づけされた研究と、使いやすいワークシートやチャートは、自分自身の症状を追跡・管理し、どの治療法が効果的かを判断することに役立ちます。
 したがってこの本書は、ホルモン補充療法に代わる治療法を探している人、また治療を補いたい人、そして更年期障害の認知行動療法に関心をもつすべての人々に役立つテキストブックです。監訳作業では、各章で執筆者が異なるため文脈によって同じ用語でも異なる意味で用いるなど、用語が完全に統一されていない点をご了解ただければ幸いです。最終的な日本語訳は、全体を通して監訳者が確認いたしましたが、不十分な点もあると思います。訳文に関してお気づきの点があれば、お知らせいただくようお願いいたします。
 なお本書との出会いは、先に述べたゼミメンバーの永谷実穂先生が更年期障害の認知行動療法をテーマに研究されているなかで、本書をワークブックとして活用することを推薦されたことに始まります。本書との出会いの機会を提供していただき、感謝申し上げます。また、日置智華子先生には、分担翻訳だけでなく翻訳全体の用語統一や内容整理など、大変時間を要す
る作業のまとめ役を担っていただきました。心より感謝いたします。
 最後に、版権取得から本書の出版に至るまでの全過程に渡り、終始多大なご尽力をいただき編集作業を快くお引き受けてくださったサイオ出版編集者の中村雅彦氏と、編集作業へのご助力を快く引き受けてくださり、翻訳作業がなかなか進まないなか原稿を辛抱強く待ってくださった編集者・松下亮一氏にこの場をお借りして心よりお礼を申し上げます。 

2023年8月末日 髙橋眞理

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