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看護を学ぶ人のための 症状別看護過程セミナー
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書籍概要
本書は、患者さんへの「気がかり(気づき)」をもとにして、その「気がかり」の意味を理解し、そこでわかったことをもとにして看護を展開していくことができる。さらに情報収集を進めてた症状関連図とともに理解を深めていく。
書籍目次詳細
目次
本書の特徴と各章の内容
第1章 必要な看護を導き出す 一連の思考過程をたどるということ
第2章 症状関連図
本書で取り上げた症状
症状関連図の構成と特徴
1.呼吸困難
2.動悸
3.発熱
4.やせ
5.尿失禁
6.便秘
7.身体可動性障害
8.睡眠障害(不眠)
9.褥瘡
10.疼痛
11.意識障害
12.倦怠感
13.浮腫
第3章 症状関連図を活用して看護を展開する
乳がんの患者
本書の事例で扱う症状一覧
第4章 症状関連図を活用した事例紹介
事例1 大腿骨頸部骨折の患者
事例2 脳梗塞の患者
事例3 慢性心不全の患者
事例4 アルコール性肝硬変の患者
事例5 COPD と肺炎の急性増悪の患者
本書の特徴と各章の内容
第1章 必要な看護を導き出す 一連の思考過程をたどるということ
第2章 症状関連図
本書で取り上げた症状
症状関連図の構成と特徴
1.呼吸困難
2.動悸
3.発熱
4.やせ
5.尿失禁
6.便秘
7.身体可動性障害
8.睡眠障害(不眠)
9.褥瘡
10.疼痛
11.意識障害
12.倦怠感
13.浮腫
第3章 症状関連図を活用して看護を展開する
乳がんの患者
本書の事例で扱う症状一覧
第4章 症状関連図を活用した事例紹介
事例1 大腿骨頸部骨折の患者
事例2 脳梗塞の患者
事例3 慢性心不全の患者
事例4 アルコール性肝硬変の患者
事例5 COPD と肺炎の急性増悪の患者
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序文・はじめに・あとがき 等
はじめに
看護学生の皆様へ
本書をご覧いただきまして、ありがとうございます。
看護大学、短期大学、専門学校と、それぞれのところで看護を学修されていることと思います。看護の学修はいかがですか。
少しでも看護を学んだ学生さんであれば、患者さん(学内授業で提示された患者さんや実際の患者さん)に出会ったとき、その様子から「あれっ」とか「おやっ」という「気がかり」があると思います。その「気がかり」は看護者であるその学生さんならではの「気づき」です。ご本人が意識していようがいまいが、その気づきの内容は、その学生さんが大事にしている看護の
視点であり、その学生さんの患者さんへの関心の持ち方であり、その学生さんの看護に対する
考えを反映したものです。このような意味から、自らの気づきを大事にしながら患者さんの理
解を深め、看護を行っていってほしいと願っています。
看護を展開するにあたって必ず学修するものに看護過程があります。そして、看護過程を展開するには、まず患者さんに関する何らかの情報が必要です。皆さんが患者さんと出会ったときのその患者さんに対する「気がかり(気づき)」は、その患者さんの1つの情報になるわけです。さて、看護過程の学修をしていくなかで、患者さんのことを見落としなく知るための方法としてそれぞれの理論に基づいたデータベースの枠組みを用い、系統的網羅的に情報を収集することを学習します。適切にこれらを活用していくことで、速やかに必要な看護を導き出すことができます。
その際、皆さんが最初に患者さんから得た「気がかり」を大事にしていくことも、合わせて進めていただきたいと思っています。その意味はもうおわかりですね。とはいっても「気がかり」はあくまで「気がかり」で、そのことが何を意味するのかそれを明らかにしていかなければ活用できません。
本書は、学生さんの患者さんへの「気がかり(気づき)」をもとにして、その「気がかり」の意味を理解し、そこでわかったことをもとにして看護を展開していくことができることをめざして作成したものです。皆さんが現場でとらえた患者さんへの「気がかり」からさらに情報収集を進めてその原因に行き着く、意味がわかっていくプロセスを示そうとした症状関連図と、患者さんの理解をしています。皆さん看護を実践することに少しでも本書が手助けになればうれしいかぎりです。
看護教員の皆様へ
本書をご覧いただきまして、ありがとうございます。
看護教員を続けてきているなかで、少しでも看護を学んだ人であれば看護の初学者であっても、患者さんに出会ったとき看護者としてのなんらかの「気がかり」を得ていることを実感します。しかしながら、その気がかりをどう扱ってよいかわからず、その「気がかり」をそのままに、あるいは破棄してしまう場面にも遭遇します。
「看護学生の皆様へ」で述べたように、看護者それぞれの「気がかり」は、その人の大事にしている看護の視点であり、その人の患者さんへの関心の持ち方であり、その人の看護に対する考えを反映したものですから、学生が自身の「気がかり」を大事にして患者を理解し、その患者の看護に結び付けていってほしいと考えます。患者さんと出会った際に感じた気がかりを大事にして、看護を導き出していくことは将来の自身の看護観の深まりにつながることでもあるからです。
とくに臨地実習においては、実習開始後早い時期に学生は患者さんの援助場面に看護師と一緒に入ります。その援助は、看護師が必要と判断し実施しているものであり、すでに看護計画に位置づけられた援助です。そこに同席することで、学生は患者さんに対する「気がかり」や「どうしてこの患者にはこの援助が行われているのだろう」という疑問や気づきをもちます。そこで教員が、学生の「気がかり」を大事に受け止めて、その「気がかり」を確かめるために次に必要な情報や、その「気がかり」の原因を明らかにするための方向性を助言するなどして学生の思考過程を丁寧にたどっていくことで、学生は患者さんの全体像の理解を深め、その患者さんに必要な援助にスムースにたどり着くことができると考えます。教員にもそれぞれの「気がかり」がありますから、学生と教員それぞれの看護観を交わしながら1人の人の看護を考えていく体験は双方に豊かな体験をもたらすものになると考えます。
このような考えから、本書は、それぞれの看護場面で、1つのあるいは複数の「気がかり」を手がかりにして、知識を活用し適切な看護を導き出すことを可能にできるようにするための支援書をめざしています。具体的には、臨床で遭遇するさまざまな患者さんへの「気がかり(症状や支障などを含む)」を手がかりに、そこで観察すべきことを確認し、「気がかり」の原因となる状況をたどっていき患者の状況を理解することにつなげようとしたものです。「気がかり(症状)」の成り立ちや原因から出発するのではなく、「気がかり」をもとに学生の思考に沿って理解を深められるようにしていく関連図を示そうとしています。さらに、その関連図を事例の看護にどのように活用するかについても提示しています。
同じお考えの先生、現場でどのように指導しようかと思うことがある先生、また、気づくのだけどそのあとどうしていいかわからないと感じている看護学生の方々に読んでいただき、少しでも患者さんの看護を考える手助けになればければうれしく思います。全体の章立てについては、この後にある「本書の特徴と活用方法」のところで説明しています。
本書の依頼を頂いて、5年を過ぎました。なんとか形にしてはまた新たな疑問や矛盾が生じ再検討してきた日々です。まだまだ検討の余地をたくさん残しているものですが、一度皆様にご覧いただき、新たな疑問や矛盾を含め、気づき、ご意見を頂くことで、より洗練して行けるのではないかと思っています。
本書をまとめるにあたり、昭和伊南総合病院健診センター長の山田幸宏先生には、関連図について、私たちの知識の誤りや思考の飛躍などがないかどうか、見ていただきました。ありがとうございました。
看護学生の皆様へ
本書をご覧いただきまして、ありがとうございます。
看護大学、短期大学、専門学校と、それぞれのところで看護を学修されていることと思います。看護の学修はいかがですか。
少しでも看護を学んだ学生さんであれば、患者さん(学内授業で提示された患者さんや実際の患者さん)に出会ったとき、その様子から「あれっ」とか「おやっ」という「気がかり」があると思います。その「気がかり」は看護者であるその学生さんならではの「気づき」です。ご本人が意識していようがいまいが、その気づきの内容は、その学生さんが大事にしている看護の
視点であり、その学生さんの患者さんへの関心の持ち方であり、その学生さんの看護に対する
考えを反映したものです。このような意味から、自らの気づきを大事にしながら患者さんの理
解を深め、看護を行っていってほしいと願っています。
看護を展開するにあたって必ず学修するものに看護過程があります。そして、看護過程を展開するには、まず患者さんに関する何らかの情報が必要です。皆さんが患者さんと出会ったときのその患者さんに対する「気がかり(気づき)」は、その患者さんの1つの情報になるわけです。さて、看護過程の学修をしていくなかで、患者さんのことを見落としなく知るための方法としてそれぞれの理論に基づいたデータベースの枠組みを用い、系統的網羅的に情報を収集することを学習します。適切にこれらを活用していくことで、速やかに必要な看護を導き出すことができます。
その際、皆さんが最初に患者さんから得た「気がかり」を大事にしていくことも、合わせて進めていただきたいと思っています。その意味はもうおわかりですね。とはいっても「気がかり」はあくまで「気がかり」で、そのことが何を意味するのかそれを明らかにしていかなければ活用できません。
本書は、学生さんの患者さんへの「気がかり(気づき)」をもとにして、その「気がかり」の意味を理解し、そこでわかったことをもとにして看護を展開していくことができることをめざして作成したものです。皆さんが現場でとらえた患者さんへの「気がかり」からさらに情報収集を進めてその原因に行き着く、意味がわかっていくプロセスを示そうとした症状関連図と、患者さんの理解をしています。皆さん看護を実践することに少しでも本書が手助けになればうれしいかぎりです。
看護教員の皆様へ
本書をご覧いただきまして、ありがとうございます。
看護教員を続けてきているなかで、少しでも看護を学んだ人であれば看護の初学者であっても、患者さんに出会ったとき看護者としてのなんらかの「気がかり」を得ていることを実感します。しかしながら、その気がかりをどう扱ってよいかわからず、その「気がかり」をそのままに、あるいは破棄してしまう場面にも遭遇します。
「看護学生の皆様へ」で述べたように、看護者それぞれの「気がかり」は、その人の大事にしている看護の視点であり、その人の患者さんへの関心の持ち方であり、その人の看護に対する考えを反映したものですから、学生が自身の「気がかり」を大事にして患者を理解し、その患者の看護に結び付けていってほしいと考えます。患者さんと出会った際に感じた気がかりを大事にして、看護を導き出していくことは将来の自身の看護観の深まりにつながることでもあるからです。
とくに臨地実習においては、実習開始後早い時期に学生は患者さんの援助場面に看護師と一緒に入ります。その援助は、看護師が必要と判断し実施しているものであり、すでに看護計画に位置づけられた援助です。そこに同席することで、学生は患者さんに対する「気がかり」や「どうしてこの患者にはこの援助が行われているのだろう」という疑問や気づきをもちます。そこで教員が、学生の「気がかり」を大事に受け止めて、その「気がかり」を確かめるために次に必要な情報や、その「気がかり」の原因を明らかにするための方向性を助言するなどして学生の思考過程を丁寧にたどっていくことで、学生は患者さんの全体像の理解を深め、その患者さんに必要な援助にスムースにたどり着くことができると考えます。教員にもそれぞれの「気がかり」がありますから、学生と教員それぞれの看護観を交わしながら1人の人の看護を考えていく体験は双方に豊かな体験をもたらすものになると考えます。
このような考えから、本書は、それぞれの看護場面で、1つのあるいは複数の「気がかり」を手がかりにして、知識を活用し適切な看護を導き出すことを可能にできるようにするための支援書をめざしています。具体的には、臨床で遭遇するさまざまな患者さんへの「気がかり(症状や支障などを含む)」を手がかりに、そこで観察すべきことを確認し、「気がかり」の原因となる状況をたどっていき患者の状況を理解することにつなげようとしたものです。「気がかり(症状)」の成り立ちや原因から出発するのではなく、「気がかり」をもとに学生の思考に沿って理解を深められるようにしていく関連図を示そうとしています。さらに、その関連図を事例の看護にどのように活用するかについても提示しています。
同じお考えの先生、現場でどのように指導しようかと思うことがある先生、また、気づくのだけどそのあとどうしていいかわからないと感じている看護学生の方々に読んでいただき、少しでも患者さんの看護を考える手助けになればければうれしく思います。全体の章立てについては、この後にある「本書の特徴と活用方法」のところで説明しています。
本書の依頼を頂いて、5年を過ぎました。なんとか形にしてはまた新たな疑問や矛盾が生じ再検討してきた日々です。まだまだ検討の余地をたくさん残しているものですが、一度皆様にご覧いただき、新たな疑問や矛盾を含め、気づき、ご意見を頂くことで、より洗練して行けるのではないかと思っています。
本書をまとめるにあたり、昭和伊南総合病院健診センター長の山田幸宏先生には、関連図について、私たちの知識の誤りや思考の飛躍などがないかどうか、見ていただきました。ありがとうございました。
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