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新訂版 解剖生理をおもしろく学ぶ
新訂版 解剖生理をおもしろく学ぶ
著者名 増田 敦子(了徳寺大学医学教育センター教授)
発行年月日 2015年1月19日
判・頁数 B5判 288頁
ISBN 9784907176280
定価(10%税込) 定価 3,520円(10%税込)
在庫 在庫あり 
書籍概要
おもしろく!たのしく!ナスカと一緒に、からだをめぐる旅に出よう!暗記の知識を捨てよう、そして想像力を生かし、旅の先に広がる体内の景色を眺望のよい場所から眺めてみよう。本書は、今までになかった、解剖生理を楽しく読む解説書。
書籍目次詳細
目次

いざ、からだを探る旅へ 8

① 生命誕生の起源
生命は海から生まれた 12

② 細胞ってなんだ?
生物はすべて細胞からできている 18
ユニークな細胞 20
実は多機能、細胞膜 22
海水と体液の電解質濃度 23
受動輸送と能動輸送 26
通すものを「えり好み」する細胞膜 27
ナトリウム-カリウムポンプ 30
細胞はタンパク質の工場 31
設計図を保管するコントロールタワー――核 32
遺伝子に記録されたアミノ酸の配列 34
タンパク質の組み立て場――リボソーム 36
転写から翻訳、そして合成へ 36
タンパク質の配送センター――ゴルジ装置 39
細胞の発電所――ミトコンドリア 40
ATP 42
ゴミ処分場――リソソーム 43

③ 流れる・運ぶ
多細胞生物が備えた物流システム 46
画期的だった血液循環説 47
ウィリアム・ハーヴェイの実験 48
心臓の位置と構造 49
心臓の刺激伝導系 51
心周期と心音 53
心臓は働きもの 54
心臓はどうやって自分を養う? 55
からだに張り巡らされた交通路 57
動脈と静脈 58
脚の血液はどうやって心臓に戻る? 59
血圧とは――最高血圧と最低血圧 60
血液は何でできている? 61
血液を流れる円板状の物質――赤血球 63
酸素を運ぶのはヘモグロビン 64
ヘモグロビンには、酸素より好きなものがある 65
いざ、毛細血管の中へ 66
血圧と浸透圧のバランスによる水の移動 70
リンパ管 73
運搬以外の血液の役割 74

④ 呼吸する
酸素を使わず、呼吸する? 76
ミトコンドリアの登場がすべてを変えた 78
空気の入り口――鼻 80
咽頭と喉頭 82
気管から肺へ 84
肺胞の壁 87
肺の構造 88
肺胞と血管の間のガス交換 90
血中で二酸化炭素はイオンとして存在する 92
呼吸のメカニズム 93
換気の仕組み 94
死腔量と肺胞換気量 95
呼吸のしかたでガス交換の効率も変わる 96
呼吸と筋肉・脳の深い関係 97
脳幹は呼吸をどうコントロールしているか 97
大脳半球による呼吸のコントロール 98

⑤ 食べる
同化作用と異化作用 101
様々な細胞と使われている栄養素 102
分解力をアップする酵素の力 104
消化酵素による分解の仕組み 106
消化器系の概観 108
食物の流れ 109
口の中 110
咽頭から食道へ 111
胃の中 111
小腸の中 113
胆嚢 114
胆汁の成分と脂質を乳化する胆汁酸の働き 116
膵臓とオールマイティな消化酵素・膵液 117
消化に欠かせない消化管ホルモン 118
小腸から門脈、肝臓へ 119
肝小葉 120
肝臓が持つ様々な機能 122
血糖値をコントロールする肝臓の働き 124
肝臓が作る胆汁の成分 125
肝機能検査と酵素の関係 126
脂質の行方 127
大腸から肛門へ 128

⑥ 捨てる
二酸化炭素の捨て場所――肺 133
不揮発性ゴミの代表――アンモニア 134
ゴミを分別する腎臓 134
腎臓の位置と血流量 135
腎臓の構造 136
ネフロンにおける尿の生成 138
血圧と尿量の関係 140
そのほかのゴミ処理業者 142
アシドーシスとアルカローシス 143

⑦ 調節する
生命活動の基本――ホメオスタシス 147
受容器と効果器を結ぶ神経ネットワーク 149
交感神経と副交感神経 150
インパルスは神経系共通の言語 152
インパルスを起こすのは神経細胞の興奮 152
脱分極を引き起こす神経伝達物質 153
カリウムイオンの出入りはいつ、止まる?155
シナプスでのバトンタッチ 155
新幹線より速い神経の伝達速度 157
長時間、持続的に働くホルモン 157
ホルモンは標的細胞を刺激する 159
受容体の多くは細胞膜にある 160
3つの原料から作られるさまざまなホルモン161
ホルモンの世界は、完全なタテ社会 162
血糖値の調節 163
血圧の調節 165
体液を調節する腎臓の働き 167
体温を調節する 170
体温を維持するのは、酵素のため 170
重要なのは脳内温度 171
体温を調節するのは視床下部 172
1日の間にも体温リズムはある 174

⑧ 感じる・考える
神経細胞の発見とニューロン説 178
脳を構成する神経細胞とグリア細胞 179
細胞が減っても、頭はよくなる? 180
神経細胞のかたち 181
感覚受容器はAD(アナログ―デジタル)交換器182
感覚によって人は行動できる 184
感覚が伝わる仕組みは共通 184
末梢神経と中枢神経 186
末梢神経の分類法 186
視覚のメカニズムを知る――眼 188
眼球とカメラの関係 190
光と色の情報を神経の信号に変える網膜 191
脳の構造 192
聴覚のメカニズムを知る――耳 196
空気の振動を水の振動に――外耳、内耳、中耳197
内耳にある感覚細胞 198
平衡覚のメカニズムを知る――半規管と前庭199
嗅覚のメカニズムを知る――鼻 201
微細な粒子を感知する嗅毛 202
味覚のメカニズムを知る――味蕾 203
偉大なセンサー――皮膚 204
危険信号としての痛覚 205
投射の法則と関連痛 205

⑨ 動く
動物だけが持つ「動く」という特徴 208
眼に「見える運動」と「見えない運動」 208
意思で動くのは、骨格筋だけ 209
骨格筋が可能にする様々な動き 210
骨の機能 211
二足歩行を可能にした脊椎の形成 212
筋肉と骨をつなぐ腱 213
骨と骨をつなぐ関節 213
骨格筋の動きを操る大脳皮質からの指令 215
運動神経が通る2つの経路 216
骨格筋の構造 218
縞模様を作る2種類の線維 219
筋収縮の動きはトランプをきるイメージ 220
筋肉の収縮とカルシウムの関係 221
肘関節の屈伸運動 222
筋肉を動かすエネルギー源 223
カルシウムの回収にもATPは必要 224
骨格筋と熱 225

⑩ 守る
からだを守る免疫の力 228
古代ローマ時代から知られていた免疫 229
特異的防御機構と非特異的防御機構 229
消化管の「守り」 231
生まれたときから一緒の常在細菌叢 231
侵入してきた敵をたたく白血球 234
白血球の働き 235
ナチュラルキラー細胞とは 236
白血球と血小板の寿命 236
抗原ー抗体反応って、何だ? 237
液性免疫と細胞性免疫 238
血液はどこで生まれるか 239
リンパ球の学校――胸腺 240
Bリンパ球の由来と成熟 241
抗体製造マシーン――形質細胞 242
抗体の基本構造 243
免疫反応の流れ 246
細胞が持つ「私」という刻印 247
白血病と免疫の関係 248
血液型が発見されるまで 249
輸血の失敗は、抗原―抗体反応によるもの249
血液の抗体は最初から血液に含まれている250
輸血に必要な交叉試験 250

⑪ 子孫を作る
性の違いが死を生んだ 254
遺伝にかかわるのは、生殖細胞だけ 255
人の染色体は合計46本 255
精子の染色体が性差を決める 257
男子決定遺伝子――SRY遺伝子とは 258
思春期に始まる生殖器の発育 259
生殖機能は、いつ、どのようにして目覚めるか? 260
男性生殖器の構造 263
精子と精液 264
女性生殖器の構造 265
受精のメカニズム 266
卵割から発生へ 267
生まれる前の世界 268
人生最大の危機――出生 269
胎児循環からの脱却は、命がけ 270
加齢と伴に起こるからだの変化と寿命 271
限りあるから人生は楽しい 272

コラム
ユーリー-ミラーの実験 14
等張液、高張液、低張液とは 28
食欲はどこからわいてくる? 130
命にかかわる腎機能障害 144
ホルモンの名前と略号 158
内分泌と外分泌 158
腎臓のその他の働き 168
ホルモンの不足・過剰と機能障害 169
スポーツにおけるドーピングとホルモン 169
発熱のしくみ 175
基礎体温を測ろう 176
体温と代謝の関係を利用した治療法――超低体温療法 176
大脳の機能局在と最新の研究成果 194
連合野って、何するところ? 195
疲れやすい嗅覚 202
脊髄損傷や内包の出血と運動麻痺 217
マラソンに強い赤筋と短距離走に強い白筋225
筋肉は使わなければ衰える 226
反射とは 226
免疫グロブリンの種類 244
Rh式血液型とは何か 251
血管を修復する血小板 252
遺伝子にも強弱がある――優性遺伝と劣性遺伝 258
器官が違えば、発達のピークも違う 262

さくいん

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序文・はじめに・あとがき 等
まえがき


「解剖生理学は苦手」「難しい漢字が出てくるだけで、チンプンカンプン」「カタカナばかりで混乱してしまう」「授業についていけない」――。毎日、このような話を学生さんから聞きます。 実はこの本、そんな学生さんたちにこそ、読んでほしいと思ってつくりました。
 看護をはじめ医療に携わる者にとって、身体の構造を知り、その機能を学ぶことはとても大事なことです。しかし、しかめっ面で人体標本と向き合い、一つひとつの名前を暗記するだけでは、そのおもしろさを感じることは難しいでしょう。
 身体の構造は必ず、その機能と結びついています。一つひとつの細胞や組織の形にはそれなりの理由があり、身体がうまく機能するよう、支え合っています。そういう意味で、身体はまるで1つの社会のようでもあり、壮大な宇宙のようでもあります。そのことを理解せずに、解剖生理学を好きになれるはずはありません。
 この本をとおして伝えたいのは、私たちは皆、膨大な歴史と進化の過程が創り上げた芸術品を抱えてこの世に存在している、という事実です。この地球に生命が誕生し、人類が進化したのはいくつもの偶然が重なって起きた奇跡なのです。いまだ人類のように高度な知的生命体は地球外では発見されていません。その驚きと発見をぜひ、みなさんにも実感してほしいのです。無理に覚えようとせず、感じてほしいのです。
 私と一緒にからだを探る旅をしてくれるのは、看護学生のナスカさんです。ナスカさんはみなさんに負けないくらい、「解剖生理学が大嫌い」な学生です。ですから、難しいことはできるだけわかりやすく、しかも、理解が深まるようにお話ししていきます。
 さて、この旅が終わる頃、ナスカさんはどれくらい、解剖生理学を好きになってくれるでしょうか?
 最後に、この本を仕上げるにあたり、ライターの曲沼美恵さんの多大な協力に感謝申し上げます。

2015年1月




了徳寺大学医学教育センター教授
増田 敦子

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